
実家を兄弟で相続する:4つの分け方と共有のリスク
最終確認 2026年9月18日
遺言書がなければ、実家は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分けます。法定相続分は、配偶者がいれば配偶者1/2・子全員で1/2、配偶者がいなければ子全員で均等です(民法900条)。ただし全員が合意すれば、法定相続分と違う分け方にできます。
4つの分け方
| 方法 | 内容 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 現物分割 | 実家は長男、預金は次男、のように財産ごとに分ける | 実家と釣り合う別の財産がある |
| 換価分割 | 実家を売って、お金を分ける | 誰も住まない。公平に分けたい |
| 代償分割 | 実家を1人が取得し、ほかの相続人に代償金を払う | 誰かが住み続ける。払える資力がある |
| 共有 | 持分を決めて全員の名義にする | すぐに決められないとき。ただし下記の欠点あり |
税金の扱い
- 代償金に贈与税はかかりません。相続税の計算では、払った人は代償金を差し引き、受け取った人は加算します(国税庁No.4173)。
- 換価分割で、売却の便宜のために1人の名義で登記してから売る場合も、遺産分割協議書に換価分割であることと分配の割合を書いておけば、分配金に贈与税はかかりません(国税庁 質疑応答事例「遺産の換価分割のための相続登記と贈与税」)。
- 売ったときの譲渡所得税は、売却代金を受け取った人がそれぞれ申告します。相続した空き家の3,000万円控除は相続人ごとに使えますが、2024年以降の売却で相続人が3人以上のときは1人あたり2,000万円になります(No.3306)。
どの分け方でも「実家がいくらか」が出発点です。代償金の額を決めるにも、売って分けるか決めるにも、先に値段の目安を出しておきます。
共有にすると起きること
- 売るには全員の同意が要る。1人でも反対すれば売れません(民法251条)。
- 共有者が亡くなると、その持分がさらにその相続人に分かれ、人数が増え続けます。世代が進むと連絡の取れない共有者が出て、売ることも解体することもできなくなります。
- 固定資産税は共有者全員の連帯納付ですが、実際には代表者1人に通知が届き、負担でもめやすくなります。
- 解消するには共有物分割請求(民法256条)ができますが、話し合いでまとまらなければ裁判になります。
「とりあえず共有」は、決断を次の世代に先送りする形になります。共有にするなら、いつまでにどうするかを決めて協議書に書いておきます。
10年たつと主張できなくなること
2023年4月1日施行の民法904条の3により、相続開始から10年を過ぎると、原則として特別受益(生前贈与など)や寄与分(介護などの貢献)を主張できず、法定相続分で分けることになります。2023年4月1日より前に始まった相続は、2028年3月31日までが経過措置の期限です。
遺産分割協議書
決まった内容は遺産分割協議書にして、相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書をつけます。不動産は登記事項証明書のとおりに地番・家屋番号で書きます。相続登記にはこの協議書と印鑑証明書が必要です。
まとまらないとき
家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。費用は収入印紙1,200円(亡くなった人1人につき)と連絡用の郵便切手です。調停でも合意できなければ審判に移ります。
出典:国税庁タックスアンサーNo.4173、No.3306、質疑応答事例「遺産の換価分割のための相続登記と贈与税」、裁判所「遺産分割調停」、法務省「令和3年民法・不動産登記法改正のポイント」、民法251条・256条・900条・904条の3(確認日 2026年9月18日)
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